先日ポリヴェーガル理論などでも書きましたが、最近遊びの重要性によくぶつかります。それは、愛情を感じ安心・安全のなかで人と遊ぶことは社会的な生活を送る動物にとって非常に大きな成長段階だということです。
ポリヴェーガル理論では、安心・安全と感じられる環境で人と触れ合いながら遊びを行うことが、興奮する交感神経を新しい副交感神経によるコミュニケーション(アイコンタクトや表情などを読み取ること)によって落ち着かせ、興奮し過ぎないようにすることになり、新しい副交感神経による自律神経の統合を促すトレーニングになるとのことでした。
NHK.BSで放映されていた遊びの科学では、親などの愛のもとで危険な遊び(身体がどきどきするような)を自分たちで発見し、自由に行っている子供の方が大人になった時にストレスを耐える力が強くなるとのことでした。この時親は子供を管理するのではなく自由に遊ばせるのがいいとのことでした。
またラット(ネズミ)の研究ですが、子供から大人へと身体が変化していく時期に、子供同士の遊びをモデルにしたtickling(くすぐり)刺激を用いて、社会隔離飼育によって引き起こされるストレスに対する弱さを調べた研究があります(Ticklingは幼若期のラットの情動応答に作用する―堀 美代)
この研究では、社会隔離飼育によって引き起こされるストレスの脆弱性に対して、快刺激(ラットの遊びをモデルとしたtickling(くすぐり)刺激:ラットには快刺激受けた時に出す特有の音声があり、子供たちの遊びの最中に多く観察される)がどのような影響あるかを確かめたそうです。
この快刺激を施しながら恐怖を感じさせた群と施さずに恐怖を感じさせた群とを比較しその結果を見ました。その結果、快刺激を施した群がしなかった群に比べて96時間後のフリージング(=シャットダウン)を起こす割合が50%も減少したと伝えています。快刺激を施した群は血中のアドレナリン・ノルアドレナリンなど交感神経が興奮したときに出る物質も有意に低く、自律神経が興奮し過ぎていないことが確認され、ストレス反応を軽減することや恐怖の記憶を消去することが示唆されたとしています。
こういったものを見ていくと、子供の時にお互い触れ合いながらコミュニケーションをとることは、いろいろなストレスをコントロールするため、ストレスから回復するため、ストレスが起きた状態を忘れるために非常に重要なのだと示唆しているように思います。
ストレスへの耐性を上げることは、あらゆる好奇心や自分のしたいことを実行する力になります。愛情を土台とした安心感や遊びが自立して旅経つまでに必要なことは、周りの自然にいる鳥や動物などにも共通する成長段階ではないかと思います。
最近は子供がテレビゲーム・スマホなどで遊ぶ時間が増えてきましたし、公園などの遊ぶ場所でも自由に遊ぶのが難しい時代になりました。
愛情のなかで安心安全を感じながら友達と遊びまわるというのは、昔は当たり前のようなことだったと思いますが、この時代ではなかなか難しいことのようにも思えます。しかし、子供が親や近くにいる大人の愛情に支えられながら、自然の中で友達と自由な遊びをしにくくなった現代を少しずつでも変えていくことが、子供が豊かな感情や好奇心をもった大人に成長するために重要なことではないでしょうか。
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